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在サンクトペテルブルク日本国総領事館
Consulate-General of Japan in Saint-Petersburg

サンクトペテルブルクにおける皆様の安全な滞在のために

2017年6月1日

在サンクトペテルブルク日本国総領事館

1 サンクトペテルブルクの治安について 
(1)一般犯罪情勢
  スリや置引き等の窃盗事件や銃器・刃物を使用した強盗や殺傷事件等,日常生活を脅かす危険な犯罪は日々発生しており,治安は決して良好とは言えず日本ほど安全ではありません。犯罪被害に遭わないために,当地の犯罪傾向を把握し,常に油断せず警戒心を保つことが重要です。
  一般犯罪の人口10万人あたり認知件数比較は,日本ワースト1地域の約2倍から3倍ですが,警察等の行政機関に対する信頼度が低く被害未届けも多いため,実際の発生件数はさらに多いと考えられます。

(2)邦人被害事件
  邦人被害事件のほとんどがスリです。地下鉄やバス等の公共交通機関,各種商業施設の出入り口付近,市内観光スポット(イサク大聖堂,エルミタージュ美術館,血の上の教会,カザン大聖堂等)及びその周辺路上等で頻繁に発生しているほか,夜間に一人で歩く日本人を狙った強盗事件も発生しています。
  特に,最近の傾向として,集団で取り囲んだ上,金品をスリ盗ったり・ひったくる窃盗事件,あるいは身動きを封じて金品を強奪する強盗事件が発生しています。また邦人男性の被害では,深夜飲食店等において飲み物に薬物を盛られたり高濃度のアルコールを執拗に飲まされて,昏睡強盗被害に遭う事件も発生しています。

(3)テロ情勢
  近年,世界の様々な地域において,テロ事件が発生し,特に繁華街,観光地,公共交通機関に対し,イスラム過激派組織によるテロやこれらの主張に影響を受けた者によるテロ等が発生しています。2015年9月,また最近では2016年7月末に,ISILは,ロシアでのテロを呼びかけるビデオをウェブサイト上に公開しました。当地においても治安機関によるテロ対策や警戒活動が強化されており,今後テロ等が発生する懸念もあることから,引き続き十分に注意を払う必要があります。

(4)集会・デモ
  愛国主義者や保守主義者等が,反政府活動家や性的少数者等の集会・デモにおいて,参加者に暴力行為を働き拘束者も出ています。そのような状況を見かけたら,巻き込まれないよう直ちにその場を離れるなど注意が必要です。

2 当地の各種実情
(1)パスポートの紛失・盗難に備える
ア 当総領事館ではIC旅券(一般旅券)を作成することができません。このため,IC旅券は日本から送付されることから,受領するまで通常3週間から1か月程度かかります。

イ パスポートの紛失・盗難に遭った旅行者や出張者などの短期滞在者の方には主に「帰国のための渡航書」を発給しますが,以後の渡航計画を中止して帰国せざるを得ない場合もあります。また,通常の旅券とは異なるため,国内の鉄道・長距離バス・飛行機(国内線)への搭乗やホテルの宿泊を拒否されるなどの不都合が生じる場合もあります。盗難・紛失等に備えて予め日本から準備する書類やその他の注意点については,当館パスポートの案内ページをご確認ください。

※ 2013年10月30日に発効した「日露査証簡素化協定」の第8条「(前文省略)領事機関によって発行された旅券又は渡航文書に基づき,査証又はその他の許可なしに出国ができる。」との規定により,出国査証等がなくとも当館発行の「帰国のための渡航書」を提示するだけで出国できます。しかし,未だ航空会社職員や空港官憲等の末端にまで浸透しているとは言いがたく,トラブルがないとは保証できません。
  パスポートは必ずその他の貴重品類とは分けて保管して,紛失・盗難に遭わないよう厳重に管理してください。

ウ 皮製のパスポートカバーを付けないでください。皮製のパスポートカバーを装着した場合,財布と間違われて盗まれるケースが非常に多いです。何も付けずにパスポートを鞄やポケットに入れている場合,パスポートだけが盗まれる可能性は非常に低くなります。

エ パスポートの紛失・盗難の場合,ロシア警察の発行する紛失盗難証明(スプラフカ:Справка)又は被害受理証明(ウベダムレーニエ:Уведомление)が,パスポートの再発給,「帰国のため渡航書」等の発給,ホテルへの宿泊,ロシアからの出国などで必要となります。手続きに際し,ロシア当局はロシア語の通訳を連れて行かない限り,取り合ってはくれないのが通常です。法律用語を含め,十分なロシア語能力が無い通訳の場合,対応を拒否されることがあります。このため対応能力のあるロシア語通訳の手配が必要になりますが,通訳料は全てご自身の負担となります。ご自身での手配が難しい場合,希望があれば通訳手配等の援助が可能です。

(2)トラブルに遭った場合の当地行政機関の対応
ア 当地の行政機関(警察・入管等)は,日本人には理解しがたい理由で行政手続きの受付けを拒否したり,不当な要求をすることがあります。

イ さらに,手続きが遅延することは珍しくありませんが,これによって当地での滞在が延び,宿泊費等の追加費用が必要となった場合,全てご自身の負担となります。

(3)医療水準等
ア 当地の医療水準は日本と同様ではなく,日本と同様の治療は期待できません。また,医療費も高額となる場合もあります。

イ 重度の傷病に罹患した場合,当地で治療を継続するにはリスクが伴います。可能な限り,ロシア国外での治療をお勧めいたします。また,高度な手術を必要とする重篤な症状では,国外搬送が必要なケースも少なくありません。

ウ 当地には日本語を解する医師はいません。十分なコミュニケーションを必要とする傷病の治療は,帰国して日本の病院での受診をお勧めします。

エ 外資系医療機関等では,診療費が保証できないと病院が判断する場合は,診療を拒否されることがあります。十分な支払いができるよう当地で利用できる医療保険に加入してください。


3 犯罪被害防止策
(1)一般的注意事項
ア 常に周囲に注意を払い警戒心を持って行動してください。海外では,自分の身は自分で守る必要があります。

イ 夜間,単独で外出するのは,とても危険です。邦人の強盗被害の大半は,夜間に単独行動をしている時に発生しています。

ウ 地下鉄,バス,トロリーバス,マルシルートカ等の公共交通機関でスリ被害が頻発しています。利用する場合には,常に周囲への警戒を怠らず危険を事前に回避するよう心掛ける必要があります。

(2)被害を最小限に抑える工夫の提案
ア スリに狙われ易いので,コート等の腰ポケットやズボン等の後ろポケットに財布を入れないようにしてください。

イ 街中でiPhone等のスマートフォンの人気機種を使用すると,犯罪者に狙われ易いです。また,首からぶら下げているスマートフォンをひったくる事件も発生していますので,服の下に入れるなどして周りから見えないようにしてください。

ウ 必要以上のお金やカードは持ち歩かず,パスポートと財布・カード等は分散して所持し,ポーチなどの貴重品袋にまとめて入れないようにしてください。

エ 貴重品は,伸縮するヒモでベルト等に結びつけて携帯するのも一つの防犯手段です。(別添「鞄等の持ち方について」を参考にしてください。)
  ※ 結んだヒモ等が見えていると反対に狙われやすくなるためご注意下さい。実際,邦人が,ヒモやチェーンを切られて財布を盗まれるなどの被害に遭っています。

オ 鞄などを後ろ掛けにしたり,リュックを背負った状態で歩くと,チャックが知らぬ間に開けられる可能性が非常に高くなります。被害に遭わないよう,別添「鞄等の持ち方について」を参考にしてください。

カ キャッシュカード,クレジットカードの番号,緊急対応窓口(日本及び海外窓口)の電話番号を控えておき,紛失・盗難の場合は,速やかにカードの停止手続きが取れるよう当地でも使える携帯電話も準備してください。過去の被害ケースですと,盗難から早くて約5分でカードが利用されたり,現金が引き出された実例もあります。

(3)海外赴任者・旅行者傷害保険に加入する
ア 被害に遭うことを想定し,被害時の補償やサポートサービスを準備することをお勧めします。

イ 重度の傷病の場合,国外緊急搬送が必要となりますが,当地では,ヨーロッパの医療先進国への移送でも通常2千万円以上の費用が必要となります。ご不幸にも死亡された場合でも,搬送費用等は個人又はご親族の負担となりますのでご注意ください。

(4)被害に遭った場合の対処
ア 窃盗・強盗の被害に遭った場合は抵抗しないでください。抵抗した場合,刃物や銃器を持った犯人から危害を加えられる可能性があります。命を守ることを最優先してください。

イ 総領事館では,ロシア警察に対して,邦人の被害状況を報告し,犯罪の防止を申し入れているほか,ロシア警察,保険会社,報道機関等から個別の被害について問い合わせが入ることがあります。犯罪被害にあった場合は,総領事館への被害概要連絡にご協力ください。

ウ 総領事館は,紛失盗難証明書や被害受理証明書を発行できません。また,証明書取得のための代行も行っていません。ロシア警察から証明書を入手しない場合や警察が証明書を発行しないなどの場合,保険金請求手続きについて,当地出発前に保険会社等とご自身で相談してください。

4 最後に
当地を含め,海外における安全に関する情報は「外務省海外安全ホームページ」(http://www.anzen.mofa.go.jp/)に掲載されています。また,当地の治安情報,安全上のお知らせや領事情報などは,随時,在留届たびレジに登録したメールアドレス宛てに配信及び当総領事館ホームページに掲載しているほか,当総領事館別館領事待合室にも掲示しています。インターネットを利用する環境にない場合は,当総領事館で情報を確認してください。
また,さらに詳しくご覧になりたい方は「安全の手引き」を参照してください。

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在サンクトペテルブルク総領事館 領事・警備班
Consulate-General of Japan in Saint-Petersburg, Consulate Section
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Tel: +7(812)314-14-34 Fax: +7(812)703-54-63
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